『綿(わた)からはじまる』作品づくり。2018:01:27:17:06:06
あいかり屋は、2016年の後半から綿(わた)からの作品創りを行っています。
あいかり屋の工房はランプーン県トゥンファーチャン町ファイライ村というとても田舎にあります。
ここで、サンダルの製作や、使用する布地作りや縫製を行っています。
この村では無農薬の綿を栽培していて、その村の綿(わた)をあいかり屋の服にも使用することにしました。
綿は、採取した綿を昔ながらに使われている道具を使って丁寧に紡いでいきます。
白、緑、茶色のコットンの原色を活かしながら、藍、柿渋、カイガラ、木の皮などの天然染めの糸と組み合わせて、村の方々が織り上げます。
この平織り綿を使って、あいかり屋唯一無二の服を創ります。
素朴な風合いを活かしながらシンプルでありながら存在感のある作品を提案しています。
あいかり屋が綿(わた)からの制作にこだわる理由は、大きく二つあります。
1)肌からコットンの質感を感じて欲しい。
あいかり屋の使用する綿畑では、白(生成り)、茶色、緑の3色の綿が栽培されています。
これを紡いで糸にします。
紡いだ糸は横糸として使用します。縦糸も同様に手紡ぎの糸にしてしまうと織りが柔らかくなりすぎてしまう為です。
『コットン自体の質感』と、『丁寧な手紡ぎの質感』、この二つを感じてほしいです。
使用するほどに、洗うほどに、やわらかくなってゆくきます。
2)『好(い)い加減』をもったおおらかさ。
あいかり屋は漠然と『手作りだからいい。』とは考えません。
管理された工業機械で製作された『均一な糸、均一な染色、均一な織り』は扱いやすくよいものだと思います。
むしろモノづくりにおいて長年にわたって、『いかに均一な商品を作るか』が商品価値向上であり、改善されてきたポイントだと思います。
それとは逆に、工業機械を使わず人間が伝統的に長年使われた道具で作製すると、気候や製作者の感覚で微妙なブレが現れます。
この『人間特有のブレや、ゆらぎ』は、あいかり屋がとても大事にしていきたいものの一つです。
この『同じものを作ろうとしても些細ながらも起こってしまうブレ。』、それは紡ぎの凹凸だったり、色染めの濃淡だったり、織りの肌触りだったり、さまざまです。
ですが、綿(わた)から仕上げまでの全工程で起こる『ゆらぎ』の蓄積が、強烈な個性を放つものになるとあいかり屋は考えます。
この『人間独特のゆらぎ。』をコンセプトの中心に据えたのがこの『綿(わた)からはじまる』の作品です。
この『綿(わた)からはじまる』は、あいかり屋の作品の中でも一番手間のかかっている作品です。
『手作りだからいい。』、『無農薬だからいい。』などとは言いません。
この『綿(わた)からはじまる』作品を、お客様が手に持ち、触って、着てみていただいて、デザイン含め価値を感じていただけるかどうか。
それが全てだと思っております。